2020年7月29日水曜日

チャッキングで考えるべきこと①

「チャッキング」と一言で言っても、次のようにいろいろなチャッキング方法があり、チャックにも多種多様なものがあります。

Ⅰ.チャッキング方法
  1. チャック(片持ち)
  2. チャック✕センター(両持ち)
  3. フェイスドライバー✕センター(両持ち)
  4. ケレドライブ✕センター(両持ち)
Ⅱ.チャックの種類
  1. 油圧チャック
  2. エアーチャック
  3. 手締めチャック(単動/スクロール)
  4. 特殊治具
今回は、1.チャック(片持ち)、1.油圧チャックについて、考えます。

◇安全
切削時の切込み量ap[mm]、周速(切削測度)Vc[m/min]、送り速度f[mm/rev]、非切削抵抗kcによって得られる3分力それぞれに対し、油圧チャックの把握力が十分に足りていることが必要です。(足りない場合はチャック及びチャック用シリンダーを交換するなどして、把握力を向上させるか、切削条件を落とす必要があります。※1)
また、ワーク(加工される材料)を長く突き出している場合に端面加工を行う時には転倒モーメントの計算を行う必要があります。

◇加工可否
上記の「安全」に関連し、加工機の所要動力が切削抵抗を上回らなければなりません。(足りない場合は、同上※1)
上記「安全」で転倒モーメントの検討を行わねばならないほどワークを長く突き出した場合、外径や内径加工を行うときにビビりが発生する場合があります。目安として、ワーク全長の2/3以上を突き出す場合は注意が必要です。
(参考)ビビリを防止するためには、切削抵抗を下げる切れ刃角の工具を選定などの対策方法があります。(但し、限界はあります)

◇加工精度
上記「安全」に関連し、3爪の油圧チャックの把握力を上げて加工する場合、チャッキング部(付近)の真円度に歪みが発生する場合があります。
この現象は通称「おむすび」と呼ばれますが、チャック爪が押さえつけ過ぎていることにより本来切削されるべき部分が刃先から逃げて加工されずにいることが原因で発生します。
これは薄肉のワークや剛性の低い(たわみやすい)材質のもので起こりやすく、対策としてはリング爪を使うなどして外周に対して極力均等に力が加わるように配慮します。

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