2020年7月2日木曜日

加工時間の計算(旋盤の場合)②~定切削速度II

最高回転数指令を超える場合

G96で定切削速度指令をしている状態で端面加工を行うと、G50による最高回転速度クランプの制限を受けて一定回転数でしか回転しないようになります。

例:素材径φ145㎜の端面粗加工を想定
G50 S2000 (主軸の最高回転数を2000rpmに制限する)
G96 S150 (周速を150m/minに設定)
G0 X150 Z1 (X=150、Z=1に早送り位置決め)
G1 X0 F0.3 (X=150→0 0.3mm/revで切削送り)


※主軸回転/工具呼び出し/クーラント吐出等の指令は省略しています。
※アニメーションでは「分かりやすくするため」にバイトの動作を一旦停止させています。


最高回転数指令を超える場合の加工時間の計算は、主軸最高回転数2000rpmに到達する前①到達した後②に分けて考えて、最後に合計します。

1.最高回転数に到達する前

式1.定切削速度の場合の加工時間[sec]

ここでは、「加工時間の計算(旋盤の場合)②~定切削速度I」で紹介済みである式1を使用します。
ただし、加工径Dがφ24~φ145まで変化するため、ここでは便宜的に平均値φ84.5(=(24+145)÷2)を用いて計算します。
刃具の移動距離Lには、(145-24)÷2より、60.5[mm]を代入します。

◇式1に代入する値
  • D:84.5[mm]
  • L:60.5[mm]
  • F:0.3[mm/rev]
  • V:150[m/min]
◇最高回転数に到達する前の加工時間①
T1=60×3.14×84.5×60.5÷(1000×0.3×150)
21.4[sec]

2.最高回転数に到達した後

式2.毎分当り回転数の場合の加工時間[sec]

◇式2に代入する値
  • L:12[mm]・・・φ24からφ0までに刃具が移動する距離
  • F:0.3[mm/rev]・・・①と同じ
  • N:2000[rpm]・・・最高主軸回転数(一定)
◇最高回転数に到達した後の加工時間②
T2=60×12÷(0.3×2000)
=1.2[sec]

3.合計の加工時間

T=T1+T2
=21.4+1.2
=22.6[sec]

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