2019年5月12日日曜日

チャック爪

▷関連:チャックチャッキング

チャック爪の種類は次のような項目によって分類されます。


1.焼き入れの有無(生爪/硬爪/局焼き生爪)

  • 生爪(なまつめ)…焼き入れがされていないため、作業者によって任意のサイズに加工することが可能。外径寸法がφ80.25(例)のようにキリが良いといえない部位の把握を行う場合でも、容易に自作のオーダーメードができます。その様なことから「成形爪」と呼ばれることもあります。一般的に、黒皮(くろかわ)の剥かれた後、または2工程目に1工程で加工された部位を把握するために使用されます。

  • 硬爪(こうつめ)…焼き入れがされているため1工程目で黒皮を把握することに向いています。生爪と違い、対象ワーク専用に成形されてはいないため、チャックの中心で正確にワークを把握することには向いていません。硬爪には滑り止めの溝が彫られており、ワークの材質が柔らかいものである場合にはチャッキング箇所に傷を残す場合があります。硬爪は鬼爪(おにつめ)とも呼ばれることがあります。

  • 局焼き生爪(きょくやき・なまつめ)…生爪には各種対象ワークのための専用爪が容易に制作できるという利点がある一方で、チャッキングを繰り返すうちに摩耗してしまうという欠点があります。局焼き生爪(または局焼き成形爪)とは、その欠点を補うため、成形後に局所焼き入れを行い、部分的に硬度を高めたチャック爪のことをいいます。但し、焼き入れが行われているので再び成形加工を行うことはできません。

2.爪高さの高低(標準爪/高爪)

  • 標準爪(ひょうじゅんつめ)…チャックメーカーが標準的に提供している爪。おおよそ爪の長さの1/3程度の高さの爪です。

  • 高爪(たかつめ/こうつめ)…チャックメーカーが準標準品として提供している爪、または特別に制作する背の高いチャック爪です。高爪設計の目安としては、爪の高さ≦爪の長さに制限することが必要です。高爪を使用する場合、標準爪より大きなサイズとなることで主軸回転によって発生する遠心力が大となり、「外径把握時」には、把握力が標準爪の場合よりも低下します。それを防ぐためにチャック圧を上げる必要がありますが、高爪による把握はチャック本体から遠い位置でワークを把握するので標準爪による把握の場合よりもモーメントが大きくなり、チャックにダメージを与える場合があります。基本的な事でありますが、使用するチャックの取扱い説明書等をよく読んでご利用ください。※補足:SMW,SCHUNK(シュンク),RÖEHM(レーム)などのドイツチャックメーカーは安全のため純正では高爪を提供してなかったと思います。

3.消耗交換部品(親爪/子爪)

  • 親爪(おやつめ)…硬爪や局焼き生爪のように焼き入れを行うことで硬度を高めたチャック爪も繰り返し使用することで消耗することがあります。その様な場合、消耗した箇所だけの交換が行えると便利です。親爪は消耗品となる子爪を取り付けるためのベース(土台)の役割を持ち、基本的にはチャックに取り付けたままにするチャック爪です。

  • 子爪(こづめ)…ワークを直接的に把握するチャック爪です。チャックに取り付けられた親爪の上に取り付けます。消耗時または、加工ワークが変わるなどして把握径を変える必要がある場合に別の子爪と交換をします。
    • [参考] 
      • スパイク爪:子爪の中には、ワークをしっかりと把握するためにスパイクを爪の中に埋め込んだスパイク爪というものがあります。スパイク爪は把握箇所に傷がついてもかまわないか、後工程で加工される(傷が最終的に消える)箇所を把握する場合に使用することができます。


4.形状(リング爪/イコライズ爪)


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